「それはなぁ、ばあさんが死ぬ前に残してくれた最後の手紙でな」
お茶を飲みながらじいちゃんは話してくれた。
「病院だったからなあ。最期が近いとわかっていたんだろう。その手紙を読んだ時、ばあさんと生きれてよかったと心から思ったよ」
ズズっとお茶をすするじいちゃん。
その目にはうっすら涙が浮かんでいた。
「どうしてまた急に手紙を読もうと思ったの?」
ばあちゃんが死んだのは僕が中学の頃で、もう何年か経っている。
「ばあさんに会った」
「え?」
「ばあさんと2回目の別れを最近したところだ」
笑顔で言うじいちゃん。
しかし僕には「?」がいっぱいだ。
「それはどうゆう…?」
「ばあさんが死んで少しした頃、ばあさんがまたわしの前に現れた。なんかなあ、白い着物を着ててな。帯が綺麗だったなあ。最初は幽霊だと思ったんだがすぐにばあさんだと分かってな」
一人優しい笑みを浮かべ喋り続けるじいちゃん。
すごく幸せそうなのはわかるけど…
おいおい…
幽霊なんているわけないだろ。
ましてや死んだばあちゃんが現れるなんておかしな話だ。
幽霊をまったく信じない俺は、今じいちゃんが言っている話は理解不能だ。
