「姫様、私は言いました。湖に行くな、王子に会うなと。あなたは、約束を破りましたね?」
王子は姫を庇うように立った。
「姫は何も悪くない。私が会いに来ただけだ」
「王子だめです!危ない………ッ!」
女の人が放った魔法が王子の体すれすれに飛んだ。
「王子が傷つくのは嫌でしょう?さぁ、出てきなさい」
女の人は魔女だった。
魔女は恋をすると、狂ってしまうといわれている。
この女の人は恋にのみこまれてしまったのだ。
「王子、私はもういいです。どうか、そこをどいてください」
王子はそれを聞いて、後ろを振り向かずに言った。
「嫌だ、と言ったら?」
「それでもどいて下さい」
姫は王子を見つめた。


