貴方の心フル受信


 王子に会わなくなって、もう何ヶ月も過ぎた日。

 ある、小さな小さな舞踏会が開かれた。



 大きすぎる舞踏会は、王子と出会ってしまうかもしれない、そう思った姫は舞踏会に出られないでいた。

 だから。


 少しでも気分をまぎらわしたいと、この舞踏会に出席した。








 思った通り、その舞踏会に王子は参加していなくて。


 『もう会わない』そう約束したのに、どこかで期待していた。

 王子以外の人と踊る気にもなれず、1人で座ってぼーっとしていると、向こうの方から誰かが走ってきた。









『いるはずのない王子が、向こうから走ってきていたのです』