クラスでの役決めはすぐに終わった。 だけど、肝心のナレーターが決まらない。 「誰かやってくれないかな…」 ちょっと困ったような顔をして言う奴。 周りからは「キュン」という音が聞こえて、女の子達が心の中で葛藤している声が私には聞こえた。 そのうちの何人かが、奴の困った顔に負けて、ナレーターになってくれることになった。 「ありがとう」 そう言って笑う奴を見て、何故か胸が痛んだ。