二重螺旋の夏の夜

「そっか」

なんだ、俺が思ってるよりもずっと、しっかり自分の足で立ってるじゃん。

手は差し伸べたけど、どうしようもなくボロボロの状態を抜け出せたのだって、この子自身にそういう力があったからだ。

きっともう同じような轍を踏むこともないだろう。

俺がいなくても大丈夫――そう悟った瞬間に、これまで以上にどうしようもなく愛しくなった。

守りたい、そばにいたい、話を聞きたい、頼られたい。

そんなの全部、彼女のためなんかじゃなくて、俺がそうしたいと思っていることなんだ。

「早見さん…?」

「あ、ごめん」

神崎ちゃんの声で我に返った。

「お時間、大丈夫ですか?」

そうか、俺と井口がぐだぐだと飲んでいる間も神崎ちゃんはずっと電話に耳を当てっぱなしだったのか。

そろそろ切るべきだよな。

時間がない、そう思うと意外にも言葉はするっと滑り出てきた。

「あのさ、今度またごはんでもいかない?よかったら」

すると電話口で、ふふっ、と笑う声がした。

「神崎ちゃん…?」

「あ、すみません」

「どうしたの?」

不思議に思ってそう尋ねると、耳に心地いい、ふんわりとした声が返ってきた。

「あの、いろいろ心配してくださって、嬉しいです」

あ、きっと今、噛みしめるように笑ってる。

その口調から、いつものあの顔が容易く想像できた。

そして、自分の口からはっきり言うなら今だと思った。

聞こえてたかもしれないんだけどさ。

実は俺神崎ちゃんのこと――