おとなしくしているのがかわいらしく見えたのか、告白してきた男の子は過去に3人いた。

自分に興味を持ってくれることが嬉しくて、これから仲良くなっていきたいと思ってそれを受け入れても、3ヶ月もすれば「何考えてるのか、よくわかんない」だとか「一緒にいてもつまらない」だとか言われて振られてしまう。

そんな恋愛とは呼べない付き合い方しか知らなかった。

だから雅基はすべてが新鮮で、わたしはどんどん引き込まれていった。



最初のメールは『ごめんね』のひとことだけだった。

『謝られるようなことをされた覚えはないですよ』

堅い文章の上に、絵文字もないからさらに堅苦しい。

でもこれがいつものわたしだった。

わたしに好意を持っているなんてこれっぽっちも考えていなかったし、気付いていたとしても媚びるようなことはわたしにはできなかった。

『昨日の飲み会。急に一緒に飲むことになっちゃたから』

『いえいえ。楽しかったです』

『本当~?』

『みなさんが楽しそうにしてるのを見てるのは、楽しいです』

『へぇ、おもしろいね!』

おもしろい、だなんて。

びっくりした。

初めて言われた。



ゆっくり考えて言葉を紡げるから、わたしにメールは向いているように思える。

『卒論どう?』

『順調に進んでます。谷村さんはどうですか?』

『結構ヤバめ(笑)』

『大丈夫です。まだ時間はありますよ』

『神崎さんにそう言ってもらえてやる気出た。頑張るわ!』

わたしの何気ない言葉にも、雅基はいちいち嬉しくなるような反応をしてくれた。