基本的に言葉を発しないので、友達はいなかった。

それでも声をかけてきてくれる子は決まって、テスト前に「ノート見せて」と言ってきた。

授業中、ノートだけはと思って綺麗にとっていたことが功を奏してはいたが、相手がそれ以上の親睦を深める気がないことは、わたしへの接し方からひしひしと感じ取っていた。

同じゼミだった子たちもそう。

連絡を取る必要があったり、たまにディスカッションがあったりするから仲のいい風に接してきてくれただけだ。

「あの子といると気ぃ遣わなきゃなんないから疲れるわ。反応も薄いし」

「何で同じゼミなんかになっちゃったんだろー」

「でも面倒な調べものまとめるのとか、全部やってくれるからその点ラッキーだよね、わたしたち」

喫煙所の前を通ったときに、煙草を吸う彼女たちの会話が聞こえてきたのを今でも覚えている。

そんなことを思いながらもわたしの前では嫌悪感を必死に隠そうとするので、それはそれですごいな、と思ってしまった。

なのでわたしも、変わりなく接してきた。

きっと最後までつまらない人間だと思われていたのだろう。

そして実際にそうだ。