申し遅れたが、私は矢野真子。
総啓高校に通う1年生だ。
なぜ、いきなりこんなことを話し始めたかというと、“それ”が目の前で起きているからである。
いつめんの誰に聞いても、口をそろえて『前から居たよ』と言って笑い、話を聞いてくれないが、確かに昨日までは居なかったのだ。
その証拠に、繪野山さんが学校に来ていない。
繪野山さんはとても明るい子で、昨日もとても元気だった。そんな人が学校を休むなんて、あまりないはずだ。