Room.この部屋で



俺は、ズルをしている。
本が読みたいがために、





「今日も…当番なので。」





と、嘘を教師に言って
図書室に一番乗りで来ている。



しかし、驚いた。
放課後になったら必ずすぐ




コイツは、来る。





委員会の書記だっけ…か。




黒髪のストレートな髪
細いし、小さいし。





子ウサギみたい。






「早瀬先輩、今日も早いですね。」




まぁ、当たり前だよな。
なんて言ったって。笑





ズルしてるんだからさ。




「…あぁ。」





本に集中しよう。




書記は、本を本棚から取り出して
俺の斜め前に座った。





風が吹くたびに
綺麗な黒髪がなびく…




書記は、髪を耳にかけた。





ー綺麗だ。




思わず、じっと彼女を見てしまった。




「綺麗。」
思ったことが口から漏れた。




彼女は、ハッとして
こちらを見た



「な、なんですか…?」




すまんな、驚かせてしまって。




「君が、」





俺は、本に集中することにした。




はっきり言ってしまえば、
気が散るんだ。




二人っきりの図書室で、
何も喋らず黙々と本を読んでいるなんて




女の子なら耐えきれないだろう。





なのに、なんだ。




この子ウサギは…





まぁ、いいんだけど…








ー綺麗だから。