目が覚めたらひどい二日酔いで、
それでも一人は嫌だから
必ず学校には行く。


頭はガンガンするし、
胃はメラメラする。


そんな辛い状況だから、今日は保健室で寝ようと席から経とうとした瞬間だった。



「どうも!わけあってイギリスに2年間いました、」


今まで聞こえもしなかった。
クラスのざわつき、歓声…
いろいろなものが聞こえてくる…


ーーは?イギリス……?


「南部庵です!」


気持ち悪い
我慢の限界だった。


そのままダッシュで、トイレに駆け込む。


ー ー ー ー

「はぁ、はぁ…」

なんで庵がっ?!
まだ、一年いるはずでしょ??

てか連絡してくれるはずだよね、
あれ?そーいや無視してたんだった…



クルクルとまわる思考回路の中…
可愛らしく響いた声


「ちょ、ちょっと!大丈夫?!」


二日酔いの所為で、疲れもピーク。
返事もまともにできなくて、やっと話せた一言。


「帰る…」

その言葉にすぐさま反応した朝比奈は、


「か、カバンとってくる!」

女子トイレを駆け抜けて行った


フツーなら、
いいって!とか、
ついてくんな!とか。


一人が嫌なくせに1人になろうとしてたけど、今回は到底無理である


歩くのがやっとな、このだるい体では難しいことであった。



フラフラとする足元のもと、
私は倒れかけた…のを何かに支えられた。

朝比奈にしては安定感がありすぎ…

「うっ!!!」

誰かわかった瞬間にこみ上げた吐き気。
残念ながら、固形物さえ食べなかった胃の中からは、戻すものは何もなかった。



「離して、」
フラフラする、足と目

1人で立てるわけ無いのに、あいつに触れられるくらいならと半ば根性で、なんとか体制を戻す。


「無理するなよなっ!」

なにが、なにが無理するなだっ!
やばい。
色々と…昔に閉じ込めた何かは、暴れ出しそうとしてる。

今にも、出たそうに。
出せよ出せよっていいながら…


「…じょう…」

「うん??」


「これ以上私を…苦しめないでよ!!!」


なんにも聞こえない
なんにも感じたく無い
なんにも見たく無い。


なのにどうして…

こんなに涙が溢れるんだろう。

クルクルする頭を、足を…
一生懸命に動かしながら、
あの場から逃げた。