「愛ちゃん、良かったの?」

愛ちゃんが先輩に、別れを告げた。
あんなに大好きだって、言ってたのに。

「うん、いいの。
苦しい気持ちのまま、付き合ってはいけないよ。
逆に、傷が浅いうちでよかったかなって」

あたしの前を歩く愛ちゃんは、振り向くことなくそう言った。
声は明るいけど、小さな背中が寂しそうだ。

また、無理してるのかな……?

「そうだ! 今からケーキ食べに行かない?
昨日美味しいお店、見つけたんだよ?」

あたしはどうにか愛ちゃんを元気づけたくて、背中に話かけた。
自分たちの教室のドアに手をかけながら、愛ちゃんが振り向く。