南の空に、かすかに明るい模様が見えた。 それは遠くの銀行に遮られていて、完全な丸ではなかったけど。 「今見えたね」 「花火!そっか、今日河川敷の花火大会か」 「忘れてた?」 「うん、全く」 橋くんはどこか呆れたような目を向けてくる。 「どうりでバイト入れてると思った」 「店長から人手が足りないって言われたんだから仕方ないじゃん。なんで少ないのかなって思ったらみんな花火大会のためだったんだ」