どん、ーどん。 「ほら、また鳴ってる」 彼の穏やかな低い声に引き寄せられるようにして、私は部屋の奥へ歩みを進めた。 私の部屋と違ってものが少ないから、足元がよく見えなくても何かにぶつかったりすることはなかった。 それでもちょっと怖かったので、転ぶことなく橋くんの隣まで来れたことにはほっとしたけど。 「ーあ、」 横に並んで、窓の外を見た時だった。