シャンゼリゼ




橋と彼女は一瞬すれ違うが、お互い見向きもしない。

俺は立ち止まったままその様子を見ていた。


「相太は次、休講だって。私なんて今日キチキチの時間割なのに休講ひとつもないし!」


なんでだろう。

自分がひどい邪魔者に思えた。


「─相太?」

「あ、悪い」

「体調悪いんじゃない。珍しいね、ぼーっとしてるの」

「自分の彼女に見とれてた」

「は!?」


照れ隠しに怒った彼女は時間がないと逃げてしまった。

チャイムが流れる中、俺は自販機の脇のベンチに座る。