シャンゼリゼ




彼女のことは可愛いし、一緒にいるとほっとする。

遊んでるさゆみとかその他の子とは違う。


でも、彼女の柔らかい愛情に触れていると、時折体中掻きむしりたくなる時がある。


こんなに温かくて優しいものは、俺には合わないって思う。

もっと適当で良いんだって。

軽いノリが楽なんだって。


なあ、気づけよ。

俺みたいないい加減な奴、お前に合わないだろうが。



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大学の外で昼食を済ませてきて歩いていると、掲示板の前に彼女がいた。


「俺先に行くわ」


隣にいた橋はそう言って早足になる。

気を遣ってくれたらしい。


気づくかなと眺めていると、彼女は俺の視線に振り向き、笑ってこちらへやって来た。