「さあ、着いたよ」
「え…
こ、ここですか?」
「そう、ここ。
よく来るんだ、ここ」
駐車場に車を停めた明人は、初めて来たにも関わらず、思い切り背伸びをしていた。
「昼御飯に、ここによく来るんですか?
ハイタワーホテルに…」
ハイタワーホテル。
それは、市内一の高級ホテルで、市内一高い50階建ての高層ビルだ。
「そう。
この最上階にある、スカイラウンジに」
いや…
誰がどう考えても、ウソだろ。
ハイタワーホテルに入ると、明人はいかにも常連の様に阿川さんをエスコートし、エレベーターの前に立った。
「このエレベーターに乗ると、すぐ最上階だから」
エレベーターの上ボタンをさっそうと押す明人に、阿川が言った。
「そのエレベーター…
35階までしか行かないって、書いてありますよ」
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