ケータイ小説作家に恋をしました。2


12時過ぎ――


会社で待っている阿川さんの元に、明人がバタバタと帰って来た。

「あ、阿川さん。
遅くなってごめん。少し仕事が押してしまって…」

本当は、本屋で市内のグルメガイドブックを読んでいただけだ。


「いえ、大丈夫ですよ」

笑顔で応える阿川さんを見てホッと胸を撫で下ろすと、明人は急いで外に連れ出した。

「じゃあ、昼休みはあまり時間ないし、早く行こう!!」


明人は阿川さんを営業車の助手席に乗せると、すぐに発進した。

「遠いんですか?」

「いや、もう目の前に見えてるよ」


「見えてる?」

阿川さんは前方を見たが、飲食店らしきものは見当たらなかった…


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