ケータイ小説作家に恋をしました。2


月初めのこの日は、営業会議だけで終わり、明人は誘われなかったが、野郎共が派遣社員を誘い歓迎会に行った。


「ふう…
僕の今月の目標は、トナー1本と取引先を潰さない事――
か。

僕がこの会社にいる意味が、あるのだろうか…」

明人は呟きながら駅まで行き、ホームにある青いプラスチック製のベンチに座った。


「本当は僕なんていない方が、みんなの為なんじゃないのかな…


ルールールルルー
ルールールルルー

きっと今頃居酒屋で、みんなが僕の悪口を言っているんだ…

それを耳にした隣の席の人が、自分達の席で話して、それを耳にした店員が厨房で話して…

きっと明日になれば、全世界に僕の悪評が広まり…
歩いているだけで石を投げられたり、背中にマジックで"トナー1本"とか書かれるんだ」



実際には、みんな明人の存在すら思い出さなかった。


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