ケータイ小説作家に恋をしました。2


「阿川 歩美です。
今日からこちらで、事務処理をすることになりました。
よろしくお願いします」


始業時間が始まるとすぐに、グレーのスーツを着た女性を支社長が紹介した。

この小柄な女性が、派遣会社から派遣された、新しい事務員だ。


「お―――!!」

支社の野郎共は、その肩くらいの黒髪をサラサラとさせる派遣社員に色めき立ったが、明人だけは無関心だった。


もう女性が目の前で、UFOに連れ去られる場面を見たくなかった…


いや、溝にハマる場面を…
いやいや、振り込め詐欺に遭う場面を…
いやいやいや、怪しげな白装束の集団に呪文を唱えられる場面を…


明人…
なんて迷惑な存在。



野郎共が派遣社員に群がる状況を尻目に、前期の営業実績を見ていた。

営業マン5人の中で、断トツの最下位。
1年間で、トナー1本…


オシャレ泥棒どころか、給料泥棒だ。