そして夕方――
「ただいま帰りました」
明人が帰社し、いつもの様に中に入ると、一斉に皆が明人に注目した。
いつもとは違う様子に明人が戸惑っていると、課長が声を掛けてきた。
「あの~お客様…
本日の営業時間は終了したのですが」
明人は一瞬新しいイジメかと思ったが、表情を見ると明らかにマジだ。
「いえ、佐藤です」
「お、お前佐藤か?」
明人の変貌ぶりに、課長は誰だか分からなかったらしかった。
周囲で、ボソボソと声が聞こえてくる…
「佐藤?」
「佐藤って誰だ?」
「新入社員か?」
入社して2年と少し…
ここに初めて、課長以外の社員に、明人はようやく認知された。
しかも――
「トナー3本?
さ、佐藤、お前…」
課長は明人の持ち帰った注文書を見て、ドリフ並みに背後にひっくり返った。
明人、1日にして2年分の仕事をする。
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