ケータイ小説作家に恋をしました。2


そして夕方――


「ただいま帰りました」

明人が帰社し、いつもの様に中に入ると、一斉に皆が明人に注目した。

いつもとは違う様子に明人が戸惑っていると、課長が声を掛けてきた。


「あの~お客様…
本日の営業時間は終了したのですが」


明人は一瞬新しいイジメかと思ったが、表情を見ると明らかにマジだ。


「いえ、佐藤です」

「お、お前佐藤か?」


明人の変貌ぶりに、課長は誰だか分からなかったらしかった。


周囲で、ボソボソと声が聞こえてくる…

「佐藤?」

「佐藤って誰だ?」

「新入社員か?」


入社して2年と少し…
ここに初めて、課長以外の社員に、明人はようやく認知された。


しかも――


「トナー3本?
さ、佐藤、お前…」

課長は明人の持ち帰った注文書を見て、ドリフ並みに背後にひっくり返った。



明人、1日にして2年分の仕事をする。


.