いつもの様に、影が薄く朝礼を済ませると、明人は早速外に出た。


明人がまず目指したのは、いつも通る海までの道沿いにある床屋だった。

ヤル気になっても、今の容姿ではまず門前払いだ。


明人の現在の容姿は、ほぼ黒といえる濃紺のスーツに白いシャツ、それに黒いネクタイ…
誰が見ても、今から葬儀場に行く様にしか見えない。

加えて、半年散髪してない髪は、前髪で目が隠れオカッパに近かった。


とりあえず、髪でも切ってサッパリしないと、営業活動なんてできやしない…



明人は目当ての床屋に着くと、早速店内に入った。


「へい、いらっしゃい!!」

「あ、スイマセン。
頭切って欲しいんですけど…」

「あいよ!!
さぁここに座ってくれ!!」


店内に客はいなくて、明人はすぐに椅子に座らされた。


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