翌日――


明人は出社すると鞄からプリクラを取り出し、入口の隅に目立たないように貼った。

明人が配属になって以来、この支社の業績が悪化していたのだ。



「おはようございます」

相変わらず誰も明人の存在に気が付かなかったが、いつも挨拶をしてくれる阿川さんの声もしなかった。


気になった明人は、個人個人の予定が書き込まれているホワイトボードを見た。


「姉の結婚式の準備のため休暇…か」


そういえば今日は金曜日。明日は土曜日なんだな…

そういえば、ポポロの姉も結婚式だってブログに書いてあったっけ。
結婚式が多い時期なんだな…


明人は少し溜め息を吐いて、自分の席にストンと座った。

そして、いつもは何も入っていない営業鞄に事務機の資料や、備品の注文票…

あの魔除けのプリクラを入れた。


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