「変えようと思わないと、何も変わらない…か」

早々に退社した明人は、そう呟きながら会社から駅への道を歩いていた。


変えるといっても、生まれてから25年間ずっとこんな性格のままで生活してきた…

急に変わるなんて事が、簡単に出来るはずがない。


駅に着き、ホームに入ってきた電車にそのまま乗った。

18時過ぎの電車には、まだ学生が大勢乗っていた…



次の駅に到着し電車が止まり、そして電車がまた動き始めたその時――


またあの怪しげな大合唱が、隣の車両から明人の車両まで響いてきた。


「シャーコ、シャーコ、オー!!
シャーコ、シャーコ、オー!!」


前回この大合唱を聞いた時、明人は遠い異国に売り飛ばされるかも知れないという危機感を覚えたが…

今の明人は、あの頃の明人とは少し違っていた。


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