だが――
結局、夕方まで書く内容が決まらず、日暮れと共に帰社した。
「ふう…
何てかけば良いのだろう?
自己紹介かな…
でも、公共の場に自分の事を書くのも変だし…」
明人は誰かと違い、人並みの常識がある男だった。
帰社しながらも考えたが、どうにもならなかった。
「ただいま戻りました」
「お疲れ様です!!」
明人は驚いてロッカーの角に、しこたま頭をぶつけた。
今まで明人の帰社に気付く人も、まして声を掛ける人など存在しなかったのである。
「阿川さん…
お、お疲れ様です」
ここにいるという事は、新種の細菌に身体を蝕まれたとかいう事はなかったんだ。
でも…
「今日、何か不幸な出来事はありませんでしたか?」
「特にありませんが?」
え―――――!!
ない?
この人は特異体質なのか?
僕に関わって平気だなんて!!
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