ケータイ小説作家に恋をしました。2


だが――


結局、夕方まで書く内容が決まらず、日暮れと共に帰社した。

「ふう…
何てかけば良いのだろう?
自己紹介かな…
でも、公共の場に自分の事を書くのも変だし…」

明人は誰かと違い、人並みの常識がある男だった。



帰社しながらも考えたが、どうにもならなかった。

「ただいま戻りました」

「お疲れ様です!!」


明人は驚いてロッカーの角に、しこたま頭をぶつけた。

今まで明人の帰社に気付く人も、まして声を掛ける人など存在しなかったのである。

「阿川さん…
お、お疲れ様です」


ここにいるという事は、新種の細菌に身体を蝕まれたとかいう事はなかったんだ。

でも…


「今日、何か不幸な出来事はありませんでしたか?」

「特にありませんが?」


え―――――!!


ない?
この人は特異体質なのか?
僕に関わって平気だなんて!!


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