しかし、明人はあまり気にしていなかった。
自分の周囲に人が寄って来なくて、いつも独りだという事によりも…
自分のネガティブパワーに誰かを巻き込み、不幸にしてしまうよりは、独りの方がまだ良かった。
それに今日は、ミセスの下着モデル…
いや、ポポロの小説を持っているし、それだけで心は晴れやかだった。
朝の営業会議が終わり、明人が外回りに行く準備をしていた時――
「下着モデル写真集ですか?」
そんなもんねーよ!!
派遣社員が、明人に声を掛けてきた。
自分に話し掛けてくる人間の存在に、明人は驚いた。
人間も動物である。
いくら衰えたとはいえ、身の危険を感じる能力が備わっている。
明人に関わると何か危ないという本能が働き、全く知らない人間でも明人に話し掛けてくる事は、ほとんどない。
その威力は、夏場に蚊にも刺されないほどだ。
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