ケータイ小説作家に恋をしました。2


しかし、明人はあまり気にしていなかった。


自分の周囲に人が寄って来なくて、いつも独りだという事によりも…

自分のネガティブパワーに誰かを巻き込み、不幸にしてしまうよりは、独りの方がまだ良かった。


それに今日は、ミセスの下着モデル…
いや、ポポロの小説を持っているし、それだけで心は晴れやかだった。



朝の営業会議が終わり、明人が外回りに行く準備をしていた時――

「下着モデル写真集ですか?」

そんなもんねーよ!!


派遣社員が、明人に声を掛けてきた。

自分に話し掛けてくる人間の存在に、明人は驚いた。


人間も動物である。
いくら衰えたとはいえ、身の危険を感じる能力が備わっている。

明人に関わると何か危ないという本能が働き、全く知らない人間でも明人に話し掛けてくる事は、ほとんどない。


その威力は、夏場に蚊にも刺されないほどだ。


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