ケータイ小説作家に恋をしました。2


4冊の本を誰にも盗られない様にギュッと抱き締め、スーツの胸ポケットから財布を取り出す…

「1、2、3、4…
4千円あるじゃん。
大丈夫だ!!」


だが明人は意気揚々と本をレジに持って行き、驚愕の事実を知る事となる――



「4,200円になります」

「え…200円ですか?」


そう。
余りの嬉しさに、消費税の事をすっかり忘れていたのだ!!


「200円…
100円、50円、10円…
うっ、10円足りない」

この時、明人の脳裏に小学生の時の事が鮮やかに蘇ってきた。


「そうだ、あの時も同じ様な事があった…

どうしても欲しいゲルググのプラモデルを買おうと、一生懸命に小遣いを貯め、玩具屋に行った時の事…

消費税分の50円が足りず、目の前で1つ年下のマナブに買われてしまった。

あの時の、嘲笑うかの様なマナブの目が忘れられない…

あの時、あと50円さえ持っていれば…
50円さえ持っていれば!!」


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