ケータイ小説作家に恋をしました。2


ああ――…


その少年マガジンは、僕の…
僕の胸に飛び込んでくるはずだったんだ!!

僕と一緒に、畳の上に寝転び…
喜びや悲しみを共にし、晩御飯のカレーライスで角がちょっとだけ汚れ…

カレーライスの匂いが染み込んだ少年マガジンと、一夜を共にするはずだったのに…

目の前で、その幸せがこの手からこぼれて落ちた――…」


明人はその場で、2冊のポポロの本を抱き締め、涙に暮れた。


「お客様…
御購入です…よね?」

明人は店主の声に、フッと我に返った。


そ、そうだ。
今回僕は、ここにある本が買えたんだ。
あの時とは違う!!

「あ、はい。
2冊とも買います」


店主は苦笑いしながら、明人に言った。

「そうして下さい。
店内で怪しげな回想されて、お客様が全員お帰りになりましたから…」


明人のネガティブパワーにより、店内には虫さえいなくなっていた。


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