明人は阿川さんをスーパーに送る道中、色々な事が頭の中を駆け巡っていた。
本よりは当然、人間の方が大切だ。それは間違いのない事だ。
でも、もし阿川ではなかったら、僕はあんなに動揺して病院に向かっただろうか?
僕が行ったからといって、何がどうなるわけでもない。
そんなことは分かっている…
もし阿川さんではなかったら、落ち着いた頃を見計らって御見舞いに行ったかも知れない。
いや――
阿川さんではなかったら、そもそも不幸の塊のような僕は、相手を気遣って御見舞いにすら行っていないかも知れない…
スーパーに到着し、阿川さんは仕事に戻るために車を降りた。
「じゃあ…」
明人も仕事に戻るため、車を発進させようとした時に、阿川さんが引きとめた。
「今日、ポポロが新作を公開するらしいですよ!!」
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