ケータイ小説作家に恋をしました。2


明人は阿川さんをスーパーに送る道中、色々な事が頭の中を駆け巡っていた。


本よりは当然、人間の方が大切だ。それは間違いのない事だ。

でも、もし阿川ではなかったら、僕はあんなに動揺して病院に向かっただろうか?

僕が行ったからといって、何がどうなるわけでもない。
そんなことは分かっている…


もし阿川さんではなかったら、落ち着いた頃を見計らって御見舞いに行ったかも知れない。


いや――

阿川さんではなかったら、そもそも不幸の塊のような僕は、相手を気遣って御見舞いにすら行っていないかも知れない…



スーパーに到着し、阿川さんは仕事に戻るために車を降りた。

「じゃあ…」

明人も仕事に戻るため、車を発進させようとした時に、阿川さんが引きとめた。


「今日、ポポロが新作を公開するらしいですよ!!」


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