ケータイ小説作家に恋をしました。2


「もしかして…


私のことを、心配して来てくれたんですか?」

「もしかしてって、僕が病院に来る理由が他にあるわけないじゃないか。

スーパーの前を通り掛かったら救急車が停まっていて、阿川さんが乗せられる所が見えたから…」


「ありがとうございます」

阿川さんは優しく微笑んで、明人の目を見つめると頭を下げた。

「でも…
どうしてまた、スーパーの前なんか通っていたんですか?」


「あ……」

この時になって、明人はようやく恋路のことを思い出した。

「どこの本屋も恋路が売り切れで、なんとか1冊残っている店を見付けて、そこに行く途中…

でも、もういいや。
また探せばいいだけだから」

「いいんですか?」

「いいよ。
阿川さん、スーパーに帰るなら送って行こうか?」


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