「もしかして…
私のことを、心配して来てくれたんですか?」
「もしかしてって、僕が病院に来る理由が他にあるわけないじゃないか。
スーパーの前を通り掛かったら救急車が停まっていて、阿川さんが乗せられる所が見えたから…」
「ありがとうございます」
阿川さんは優しく微笑んで、明人の目を見つめると頭を下げた。
「でも…
どうしてまた、スーパーの前なんか通っていたんですか?」
「あ……」
この時になって、明人はようやく恋路のことを思い出した。
「どこの本屋も恋路が売り切れで、なんとか1冊残っている店を見付けて、そこに行く途中…
でも、もういいや。
また探せばいいだけだから」
「いいんですか?」
「いいよ。
阿川さん、スーパーに帰るなら送って行こうか?」
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