明人はその問いの答えを用意してなくて少し動揺したが、当たり障りのない返事をした。
「い、いや…
仕事中に偶然通り掛かって」
「佐藤さんの営業エリアって、ずーっと向こうの方じゃないですか」
しまった。
阿川さんは、僕の営業エリアを知ってるんだった…
「と、友達…
そう、友達が住んでるんだよ」
だから何だ?
阿川さんは明人の様子を眺めていたが、フッと笑顔になって言った。
「佐藤さん、もうお昼食べましたか?
もしまだだったら、一緒に食べませんか?
とは言っても、店の裏で弁当ですけど…」
「あ、うん」
明人は、マヌケに返事をするしかなかった。
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