ケータイ小説作家に恋をしました。2


明人はその問いの答えを用意してなくて少し動揺したが、当たり障りのない返事をした。

「い、いや…
仕事中に偶然通り掛かって」

「佐藤さんの営業エリアって、ずーっと向こうの方じゃないですか」


しまった。
阿川さんは、僕の営業エリアを知ってるんだった…

「と、友達…
そう、友達が住んでるんだよ」


だから何だ?


阿川さんは明人の様子を眺めていたが、フッと笑顔になって言った。

「佐藤さん、もうお昼食べましたか?

もしまだだったら、一緒に食べませんか?
とは言っても、店の裏で弁当ですけど…」

「あ、うん」


明人は、マヌケに返事をするしかなかった。


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