ケータイ小説作家に恋をしました。2


それからの明人は、疫病神と貧乏神が夢のコラボレーションを実現したかのように、不幸の種を撒き散らし始めた。


それでも…
ギリギリ元の無気力な人間に戻らず、少しでも前向きに生きようとする気持ちが残っていたのは、いつも持ち歩いていたサイン入りのポポロの小説のお陰だった。



阿川さんが会社を去って、1ヶ月が過ぎようとしていたある日――


帰宅途中の明人を、駅前で呼び止める人がいた。

「これこれ、そこの悪霊をゾロゾロ連れて歩いている若者よ。


こりゃ無視するな!!
お前じゃ、お前!!」


明人は明らかに自分に向けられた言葉に、仕方なく振り返った…


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