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「大丈夫?」

秋空が広がる屋上でこぼれる涙を必死に止めようと何度も拭う


「渚……とりあえずこれ飲みなっ!」


温かいココアをわざわざ買ってきてくれた


「ありがとう」


「何があったかは聞かないけど…一樹も心配してたよ?」



「………」


「辛いのは分かるけど泣いてちゃ前に進まないよ?」


「里子」


「どっちかを選ぶのは大変だけど前向きに考えなきゃ」



「……うん、その件は解決したよ……でも」


「ん?」


「一樹とキスしちゃった」
「えっ、え〜?」


里子は私が何も言わないからまだどっちにするか悩んでると思ったみたい


かなり驚いてる


どっちかなんてもういいの


ただキスがショックで


泣いただけ…


「キスって何で?」


「つまずいた私を助けてくれたんだけど…」


「そっかぁ、だったら泣いちゃ一樹がかわいそうだよ」


「え…」


「せっかく助けてくれたのに」


「……そうだよね」


「でもこんなに泣かれてあいつ、かなりショックだったろうな〜」


「え?」


里子は小さな声で呟く