「大川の専属カメラマンが俺の写真を見て気に入ってくれてさ…そのカメラマンがこれからは、俺に変えたいって言ってきたんだ…」



冷たい風に体を襲われながらも真剣な彼をただ見ていた



「俺…断ったんだけど、うちの社長が勝手にOKしちゃってて…契約もしてた」


「で、でも、それって忍のせいなんかじゃ…」


苦笑いしながら首を横に振る彼を痛々しくて彼の腕にしがみつく



「……俺のせいだよ」

「でもっ!」

「最終的には俺のせい、大川の言う通り、盗った事には変わりはない」


「忍っ!」

辛そうな彼をどうにかしてあげたいけど否定するしか私には出来なかった



「そうだよっ!俺は事務所に損害起こしたお陰で仕事は、ほされるわ…最悪なんだよっ!!てめぇのせいで!」



睨みつけ、今にでも掴みかかりそうな勢いで感情をむきだしにする大川


「…本当にすみませんでした」



誠意を込めて謝る彼に私はただ横で泣いてた



忍のせいなんかじゃない

忍の…

でも私には知らない世界だからこれが常識なんだとしたら何も言えないよ



「ふざけんじゃねぇよっ!今更、遅いんだよっ!」



口唇を噛み締めたせいで血が出てる大川さんと目が合うと、また意味ありげにニヤッと笑った



何でこっち見る…のって思った矢先、グイッと腕を掴まれ気付くと大川さんの胸の中で乱暴に抱き寄せられていた



「渚っ!!」

必死に逃げようとするけど強い力に押さえ付けられる


「なぁ〜原田〜この女、傷モンにされたくねぇなら」


「………」


「黙って俺の気が済むまで殴らせろよ」





「………分かった」

「忍っ!」


即決して私に笑顔を見せる彼は覚悟を決めてる


嫌だっ!

忍が殴られるなんて

絶対に嫌だっ!


涙が溢れ何度も横に顔を振る


さっきまで繋いだ手がこんなにも冷たい