抱きしめられる腕が強くなるのを背中に感じる


いきなり雰囲気が変わり動揺してしまう


急に男らしくなる彼に戸惑う



「ど、どうしたの?」

「………」

「し、忍??」

「俺………」


ザワザワ…

風で公園中の草木が揺れざわめき出す


その音は大きいのに忍の呟く声は不思議と響いた



「涼子には…」

「………」

忍の服をギュッと握り、しがみつく


あの人の名前を聞くだけで拒否反応を起こす


「今もこれからも俺は渚だけって断った」


しばらく、彼の言葉を飲み込む


頭の中で処理が終わるとすぐに我に返る


「今も?」

コクン

私の質問に彼は頷く

「これからも?」

「うん」

「ほ、本当に?」

「本当だよ!」

忍の言葉が嬉しすぎてまた涙が出た



「あ〜また泣く〜本当、渚は泣き虫だな〜」


優しい手で優しい声で私の頭を撫でる忍


「渚には我慢しないで何でも言って欲しい…」

「………」

「もう、泣かせたくないから渚が気にしてる事…教えて?」


気にしてる事?

言ってもいいの?

言っても嫌いにならない?

葛藤が続き考え込む


「嫌いにならない?」

「うん…ならない」

「本当に?」

「俺がどれだけ渚の事、好きだと思ってんの?嫌いになんてならないよ!」


またギュッと強く抱きしめられる


ねぇ……

忍………

あなたの優しさはいつも私の支えでした


ずっと一緒だと約束したあの日を境に私達の未来は


願うなら、強くなりたい

大切なものを守れるくらい強く


今更、強くなっても仕方ないのに……ね


ねぇ…

忍………

私はまだあなたが大好きで仕方ないんです