「顔、ひきつってる…」

ポツリ、里子が呟く

「えっ」

鋭い視線に見透かされ冷や汗かく私の顔をしぶとく観察する里子



放課後、里子と一樹と近くのカフェで普段通り話していたら突然彼女が呟いた


大好きなパフェを頬張ろうとした直前だったけど彼女からの追求に慌ててスプーンを置いた



「な、何、言ってんの?何もない…よ」


あからさまにとぼける私をスルーする訳もなく彼女は厳しい顔をした


「渚!無理してる!昨日、何かあったんでしょ?」

「…何もないよ」

「嘘っ!渚の事は私が1番知ってるんだから!今の渚はカラ元気に見える!一人で溜め込まないでよ」


必死になってくれる里子の気迫に負け呆然とする

だけど次第に涙が頬を伝う


「渚…?」

「……っ……」


何で里子には何でも分かってしまうんだろう


何も言わないでもいつもばれちゃう


「お前ら…こんな所で泣くなよ!俺が何かしたみてぇじゃん」


ため息つきながらコーヒーを飲む一樹


気付くと彼女も泣いていた


「さと…こ…」

「私達、親友でしょ!みずくさい!渚が辛そうな時…何事もないようにスルーなんか出来ないよっ!」


「……っ……」


今まで何でも相談してきたけどあのキスシーンだけは言葉にしてしまうと独占欲むきだしの汚い私になりかねないから自分の中で処理しようと必死だったんだ


でも、里子には見透かされて心配かけて私はバカだ


最初から、里子には相談するべきだった


本当…私ってバカ…


「……あり…がと…」

涙を拭いながら自然に微笑むと一樹が私の頭に優しく触れた



私は、昨日の出来事を涙で途切れ途切れになりながら説明した



「あ…あのね…」