ここにいるよ


試合後で喉が渇いてるかもしれないから忍の大好きなオレンジジュースを片手に更衣室へと急いだ



ハァ〜緊張するな〜


頭の中は、“ご褒美”の言葉で溢れて心臓が張り裂けそう


でも、早くお疲れ様を言いたいから急ぎ足になる



更衣室の前まで着きノックをしようと手をかけると話し声が聞こえた




一つは……忍の声



そして、もう一つは……


「!!!」

その声を聞くと同時に、ドアの前で固まってしまう



ビクリともせずフリーズした

見なくても分かる

涼子さんだ………



入りづらくて少し開いたドアから覗き込んだ




「忍…」

「ん?」

「好きなの…ずっと」



涼子さんは綺麗な瞳から涙を滲ませ彼を見つめると勢いで彼に抱き着いた



「涼子……」


「好き……」


!!!


その瞬間、彼女の顔が忍の顔に近付き強引にキスした



「涼っ!」

とっさの事で驚いたのか忍は勢いよく彼女を突き放しす



「しの…………」



声にならない声で呟く


頭の中が真っ白になり脱力すると手に持ってた缶ジュースを床に落とした



カラーンカラーン

無情にもコンクリートの床に響く音が我に返した



その音に気付き忍が素早くドアを開けた



「渚!!」


忍の澄んだ瞳が見開いて私の涙ぐむ姿を映した