ここにいるよ

勢いよく、目の前にいる彼を見上げた


彼はいつもの笑顔でニコッと笑った


「お出迎え?淋しかったのかな〜?渚ちゃんは〜〜」


嬉しそうに廊下でお構いなしに私を抱きしめてくれた


さっきまでの殺伐した雰囲気から開放されて少し安心する



「忍……あの…」

「ん〜?何〜?」

ニコニコしながら私の髪を指先でクルクル絡ませながら答える忍



和やかな雰囲気をまた一瞬で先程の彼女の一声で変わった



「ちょっと!忍!その娘…勝手に入ってたけど」


ご立腹でドアの前に立ち凄い勢いで部屋から出て来た


次の瞬間……

私の心は凍った



「……涼子……」



!!!


え………

…………

…………


忍の声が耳に響く


今、『涼子』って言ったよね………??


何で?

この楽屋に入った女の子は私だけなんじゃなかったの??



理解に苦しみどうしようもない


意味分かんないよ!?

誰なの?

忍………

教えてよ……


不安で不安で

また泣きそうだよ


気持ちが押し潰されそうで彼の袖をギュッと掴んだ