もう…

せっかく久しぶりに会えたのに


忍〜〜

私…ここにいるよ

気付いてよ〜〜


『きゃ〜忍が歩いてる〜』

『足、長い〜』

人ゴミを掻き分け忍が教室から出てきた


忍の一つ一つの行動に女子達は騒いでる


忍は真っすぐ私の元へ歩いて来た


///

気付いてくれたの?

嬉しくて笑顔がこぼれそうになってると、忍は私から視線を反らした


え……

今、無視された??

一瞬で地獄に落とされた気分になる


どんより気分になってると忍が私の前に立って振り返り話し始めた



「皆さん、俺の弟もよろしくねー!」


え?弟?

呆然として横を見ると一樹の肩を抱いて笑顔を振り撒く忍がいた


その瞬間、彼女達の瞳がより一層に輝き悲鳴を上げた


いつの間にか一樹が横にいたんだ


気付かなかった


一樹は嫌そうに顔をひきつって


「忍〜!黙ってろって言ったよな!」


勢いよく忍の腕をふり解いた



『キャ〜川上君と忍が〜』

『嘘〜☆』

『キャ〜☆』

当然、女子達は二人を囲んでざわつき出す


また…見えない

もう…チャイム鳴っちゃうよ

忍のばか…


諦めて教室に帰ろうとすると


グイッ!

勢いよく腕を引っ張られた


………

………

だ、誰??

掴まれた腕の先を見ると


「しっ!しの…」

びっくりして大声出そうになると忍が私の口を手の平で塞いだ


ふと横を見ると一樹だけが女子に囲まれてる


声を出さず彼は私の手を繋ぎその場所から逃げ出した

度々振り向いて私に笑顔をくれた


も、もしかして逃げ出す為に一樹との事ばらしたの?

本当…バカだよ

また怒られちゃうよ?

一樹から

本当…バカなんだから…

繋ぐ手が温かくてすごく愛しいよ


忍……

大好き……