ピッ

「やった!自己ベスト!」


陸上部マネージャーがをストップウォッチ片手に駆け寄ってくる


ハァハァ、息が上がる

肩で息をして彼女にピース


「もっと練習すればもっとタイムあがるのに」


「はい…」

彼女の一言がグサッときた

彼女は専属マネージャー



私が、雑誌が発売する日は部活サボり本屋に直行直帰するせいか、普段は嫌み言われっぱなし



「でも、さすがね」

「え」

「さすが全国一位、いいタイム」


「!!!もう一本走る!」


「頑張って」


マネージャーのお世辞に高揚してしまい自分から走り込みだす



私は、顔も普通だし

スタイルも普通

頭いいわけではない

でも走る事には自信がある

ずっと走る事は好きで走り込んでる内に去年のインターハイで個人優勝しちゃった


それが私の自慢

人に胸張って自慢できるのはこのぐらいしかない


走ってると落ち着く

世界に私しかいないと

錯覚するくらい

夢中になる……

人の目も気にせず人の噂にも気にしないでいられるから


「森村、頑張ってるか?」

「部長」


100メートルを五本走り終わり汗を拭いていると部長が話し掛けてきた