「野宮さん」

不思議そうな顔をしている野宮さんに、
声をかける。

「な、なに?」

若干、怯えているようだが、気にせずに
私は言った。

「浮気は、したらダメだよ。酷いと
殺されちゃうよ」
「……!」

完璧に、怖がらせたようだ。
目を見開いて驚いている……ごめん。
そんなことをしていたけれど、結局
自己紹介の順番は回ってくる。

「堂坂 蒼です。犬と猫が好きです。
よろしくお願いします」

これだけ言って、さっさと席に座った。
大嫌いな自己紹介は、もう終わったので
何もしなくて大丈夫。
すっかり安心して、私はグダグダに
なっていた。