お前、気に入った*



病院に着いてエントランスに入ると、


それを待ち侘びていたかのように腹痛…


…陣痛……………


私は


そばに居た『研修中』のナースたちに


大きな部屋へ移動させられた


そのとき、見覚えのある顔が見えたのは


多分気のせい………


ーーーーーーーー…………


陣痛が始まってだいぶ経つ


その間、


ずっと手を握ってくれている百々ちゃんが


唐突に口を開いた


「覚悟は、できているの…?」


「……えぇ」


私の左手は、使えなくなる。


この子を産む代償…


この子を産んで暫くは、


私の癌の手術ができないらしい


だから、左手は使えなくなるかも知れない


と、百々ちゃんは泣きながら言っていた


「私ね、嬉しいよ?


 この子を産める。


 そして、生きていける。


 とても誇りに思う。いままでの人生…


 里菜の分も生きて、

 
 櫻乃の分も愛情をこの子に注ぐ


 …素晴らしい人生だよ…」