色々考えてるうちに、思い出したんだ。


 ナツは一度も積極的だったことなんてなかったよなー、なんて思い返してみると、一度だけあった。ナツが積極的だった時が。



 それは、俺とナツが初めて会って、エッチしたときのこと。

 あの時のナツは、大量の酒が入って酔っ払っていたこともあって、かなり積極的だった。


 誘ったのは俺だったけど、ホテルまで率先して俺を引っ張っていったのは、ナツ。

 さらっと下ネタっぽいことも言ってたし、シャワーとかもさっさと浴びに行って……


 最中の時も、実際にナツから何をしてきたでもないけど、初対面の相手に対しては、積極的だったんじゃないか?


 ということは……酒か! 酒がナツを大胆にさせるんだな!?


 よっし!

 そうと分かったらやることは決まりだな!


 今夜、ナツを酔わせてナツと二人で新たな愛を開花させるのだ!



―――――


「いらっしゃい、旬」


 ナツの部屋に泊まる予定の週末。

 俺の企みなんて知らないナツは、いつも通りに俺を迎え入れてくれた。


「あれ? 旬、何か買ってきたの?」

 コンビニの袋を持った俺を見て、ナツは首を傾げた。


「ああ、うん。酒買ってきたんだ」

 俺は思わずにやけそうになってしまうのを堪えて、ナツに袋の中身を見せた。


 缶ビール六本に、日本酒のパックを二本、それから焼酎も一本。

 コンビニだからあんまり銘柄は揃ってなかったけど、できるだけアルコール度数高めなのを選んだ。