髪を乾かし終えると、旬が仰向けになった。


「もう終わっっちったー」


「何でがっかりしてるのよ。ほら、どいて」

 奈津美は旬の頭を浮かせてそこから膝を抜いた。


「ああー」

 旬はまた残念がった声を出し、床にゴチンと頭をぶつける。


「あー。じゃないの。もうそろそろこたつから出て」

 ドライヤーを片付けながら奈津美は言った。


「こたつも電源切るからね」


「あ、待って! ナツもすぐベッドに入る?」


「うん。あたしだって寒いもん」

 そう言いながら奈津美はこたつのコンセントを抜いた。


 そして奈津美は先に旬のベッドの上にあがり、掛け布団をめくって中に入る。


「ううー。さみー」

 旬もすぐに布団から出てベッドに入ろうとする。


「旬、先に電気消して」


「えぇー。もー」

 旬はバタバタと動き回り、部屋の電気を消すと素早くベッドに来る。


「さみーよー!」

 そして奈津美に抱きつくようにして、ベッドの上に滑り込む。


「きゃっ!」

 奈津美は旬と一緒に倒れこみ、旬と一緒に掛け布団の中に包まった。


「もー。寒い寒いって言わないで。それに旬の方があったかいじゃない。ずっとこたつに入ってるから寒く感じるのよ」

 旬が寒いと言う割には、明らかに奈津美よりは体温が高い。これだと温まるのは奈津美の方だ。


「寒いもんは寒いもん。それに、こうしてる方がずっとあったかいし」

 旬は奈津美の身体をぎゅっと抱き締めた。