「もう一本食っていい?」


「うん」

 あたしが頷くと、旬はすぐに最後の一本を取り出して、ピンクの団子を食べた。


「でも、満開になってからまた花見するのもいいかもな。弁当作って持ってきてさ」


「……それって、作るのあたしじゃない?」


 旬は何気なく『弁当作って』って言ったのかもしれないけど、旬にお弁当作りなんてできるわけがない。


「あ、そういやそうだな」


 旬は今思い出したように言って笑った。

 そんな旬に呆れながらも、あたしはまた花見にきてもいいかなと思った。


 旬の言うとおり、今度はお弁当を用意して。


 でも、旬のことだから、きっと花より団子になるんだろうなぁ。


 そんなことを、もうすぐ二本目の団子を食べ終わる旬を見て思っていた。



~END~