こんな些細なことをいちいち報告しなくてもいいのに、と、正直思ったけど、こんな些細なことをわざわざ電話してまで一番に教えてくれたのは、嬉しかった。


「んでさ、今コンビニ行って買ってきたんだけど」

 旬は手に持っていたコンビニ袋を持ち上げて、中身を見せた。


「三色団子。これでプチ花見しよ」

 旬はにっこりと笑って言った。


「え……でも旬、バイトは?」


「すぐそこだし、後十分ぐらいなら大丈夫だよ。『プチ』花見だし。あ、いい感じの場所にベンチあるし。座ろ」

 旬は一方的に決めて、あたしの手を引いた。

 さっきの桜が見える位置にベンチがあった。

 旬はそこの左側に座り、右側を手で払った。


「ほら、座って」

 旬はあたしの手を引いて座らせようとする。


「もう……旬ってば」

 旬に呆れながら、あたしは旬の隣に座った。

 旬はいそいそとコンビニ袋から三色団子のパックを取り出して、開ける。


「はい、ナツ」


「……ありがと」

 あたしは三本入りの一本を手に取った。


「いただきまーす」

 旬も早速一本取り出して、一番上のピンクの団子を口に入れた。


「うん。団子だ」

 そんな当たり前のことを言いながら、旬は満足そうに笑いながら口を動かしている。

 あたしも、ピンクの団子を口にした。


 確かに、団子だ、という感想が一番正しかった。

 コンビニで売っているものだから、特別に美味しいということも、不味いということもなかった。