でも、不思議。

 あれからたった一週間しか経っていないんだ。


 一週間前、目が覚めると裸でベッドにいて。


 見知らぬ裸の旬にいきなり頭下げられて交際を申し込まれて。

 その勢いに負けてОKした。

 でも、その後は慌ててホテルを飛び出しちゃって。

 名前も聞いていなくて(聞いたらしいが覚えてなかったから)。

 携帯を落としたのを旬が拾ってくれてたから、旬に持ってきてもらって、家まで送ってもらった。

 そのときにやっと名前とか齢とかきいたんだっけ。


 それから、帰ってからかかってきた電話で、デートの約束をした。


 約束どおりにこの間、デートをして、買い物をして、ケーキバイキングに行って色んな話をした。


 途中で旬がバイト入ったから、そこで終わりになったけど。


 それがすごく残念で、でもすごく楽しかった。


 その日から『旬君』を『旬』に変えた。


 今、やっと馴染んできたくらい。

 そっか。まだ一週間なんだ。

 もうたくさんの時間を共有してる気がしてた。

 一週間前には全く知らなかったはずの人なのに。

 一週間後の今は、旬のことを好きな気持ちが大きくなっていて。

 こんな自分がいることを、一週間前には予想もできなかった。


「えーっと、ナツ。十二時過ぎちゃったけど。とりあえず一週間記念ってことで。おめでとう」

 残念がっていた様子の旬は気を取り直した風にそう言った。


「うん……おめでとう」

 この場でおめでとうはなんとなく違うような気がしたけど、旬に合わせて言っておいた。


「まだ一週間だけしか経ってないけど……これからもよろしくな」


 よく考えれは、一週間で記念日扱いするのは早すぎるのって早くない?


 旬ってマメなのかな?

 この感じだったら、一週間ごとに記念日とか言うんじゃ……

 今日の感じだと特に何をするでもないみたいだけど……


 でも、まあ……


「うん。よろしくね」


 一週間ごとの記念日は、それはそれでいいかもね。



~END~