奈津美が、あっと思った瞬間には、奈津美の唇には、旬のそれが当たっていた。


 可愛らしくすんだ口付けで、唇はすぐに離れた。

 奈津美は目を丸くして固まっているだけである。


「へへっ。うまいだろ?」

 旬は嬉しそうに笑っている。


「なっ……なにするのよ!」

 すぐに顔に血が上っていくのが分かった。どんどん顔が熱くなる。


「味見だよー? 一口だけ。もっとディープな方がよかった?」


「もう! 知らない!」

 奈津美はそっぽを向いた。


「かーわいい。テレちゃって」

 旬はこれでもかというほど奈津美にくっつき、頬を寄せた。


「ちょっと、近い!」


「いいじゃん。今日くらい」

 旬は奈津美が離れないようにしっかりと腰に手を回した。


「……やっぱり旬、酔ってるでしょ」


「酔ってないよー。ナツとこうしたいだけ」

 旬がそう言って、奈津美の耳の横にチュッと音を立ててキスをした。


 それに奈津美は肩を震わせる。


「メリークリスマス」

 そのまま奈津美の耳元で聞こえた旬の囁きは、イチゴの甘い匂いがした。



~END~