十二月二十四日。クリスマスイブ。


 ピンポーン。


 奈津美の部屋のインターホンが鳴り、奈津美は玄関に向かった。


 ドアスコープを覗くと旬だったので、ドアを開ける。


「ナツー。メリクリー」

 ドアを開けると、旬が上機嫌に言った。


「いらっしゃい。ちょうど今料理の準備できたとこよ」

 奈津美は旬を招き入れながた言った。


「おー。じゃあちょうどよかったなー。あ、なんかいい匂いする」

 旬は玄関で靴を脱いで、誘われるかのように奥に入っていった。



「おおー! すっげー!」

 ローテーブルに置かれた料理を見て、旬は興奮気味に言った。


 ローストチキンにフライドポテト、サラダにスープ、サンドイッチといったメニューがローテーブルいっぱいに並んでいる。


「ちょっと張り切りすぎちゃった。チキンは上手くできてるか分からないんだけど……うちのオーブンで初めて作ったから」


「え!? これも作ったの? チキンは買ってきたやつかと思った」

 旬が目を丸くして言った。


 これは、嬉しい一言だ。まだ食べていないとはいえ、見た目だけは売り物に近くできたということだ。