旬と付き合い始めて、もう暫くの時間が経った。


 旬とキスをして、体を重ねるようになってからも、それなりに長い。



 だけどあたしは、未だに慣れないことがある。




「すっげードキドキいってる」

 旬があたしの胸に大きな手のひらをあてて言った。


「ナツって、エッチする時、いっつもドキドキしてるよな」

 そう言いながら、あたしの心臓のある辺りをグルリと撫でた。


 それが尚更、あたしの心拍数をあげた。


「だって……慣れないし……恥ずかしい」


 どうしてか、あたしは、旬とする時だけは、未だに緊張する。


 肌では慣れ親しんだ関係になったというのに、キスまでなら大丈夫なのに、この時になると、あたしの心臓は、激しく動き出す。


「もう一年以上するのに? 多分、回数でいうと百回はヤッてるよ?」


「そっ……そんなにはないでしょ! 何言うのよ」


 旬は何だか余裕があるようだから悔しい。

 本当に、今まではそんなことなかったのに。


 旬に出会うまでに付き合ってきた彼氏とは、体を重ねる関係になって、暫くすれば、もう慣れて、何も思わなくなったのに。


 それが原因で別れたことだってあったけれど。


 でも、旬とはそんなことがないから、これは喜ぶべきことなのだろうか。