「ご……ごめんな? 起しちゃって……」
奈津美の反応を窺うように旬は言った。
「ううん……何かあったらちゃんと言ってね、本当に」
「うん。分かってる」
旬が素直に頷いたのを確認して、奈津美はベッドに戻った。
……何か、さっきとは打って変わっての反応だったな。
まさか本当は何かして隠してるんじゃないかという反応だった。
……まあいっか。今はそんな気力ないし。
そう思って目を閉じたら、今度はすぐに眠りに落ちていった。
「……ツ。ナツ」
旬の声で奈津美は目を覚ました。
旬が目の前にいる。
「ナツ、お粥できたよ。食べれる?」
ぼーっとした頭で旬の言っていることを聞き入れる。
「……うん。ありがと」
体を起こそうとしたら、寝てたせいなのか、重く感じた。
「大丈夫? 無理しなくていいよ?」
横で奈津美を支えながら、旬が言った。
「大丈夫。……お粥は?」
「うん。あるよ」
ローテーブルの上に置いてあった茶碗を、旬はてにする。
「ありがと」
奈津美はそれを受け取ろうとして、手を伸ばす。
しかし、旬がすぐにそれを遠ざけた。
「ダメダメ! 俺が食べさせてあげるから」
「え……いっ、いいわよ! 自分で食べられるから!」
奈津美は旬から茶碗を奪おうと手を伸ばした。
しかし、リーチの差があり、届かない。
「昨日は俺が食べさせてもらったもん。だから今日は俺が食べさせてあげる」
「いいってば! 昨日は旬が起き上がれないくらいだったからしただけだし……あたしは大丈夫だから!」
「いいのいいの。ほら、危ないから大人しくしてて」
旬はベッドの端に腰掛けて、匙でお粥をかるく混ぜる。
「大丈夫かな。熱いかな?」
旬は一口分匙ですくって、ふーっと息をかけて冷ます。
「はい。ナツ。あーん」
満面の笑みで旬は奈津美の口の前に差し出した。


